セクキャバ嬢ですが給料の前借は違法なのですか?

2023年12月14日

succo / Pixabay

風俗のお仕事を始める女性の理由は、ひとそれぞれでしょう。
割かし(わりかし)多いのが借金や生活費切れです。
アイドルの追っかけ資金やストレス発散の買い物でお金を使いこんでしまい消費者金融に手を出してしまった・・・。

パチンコで負けが込み生活費まで使ってしまったので今月、家賃を滞納しそうだ・・・。
こんな女性のなかには差し迫って「いますぐお金が必要」というひとも居るでしょう。
彼女たちが風俗店のアルバイト求人に申し込むと同時に口にするのが「前借制度ありますか?」という一言です。

業界で「バンス」と呼ばれるこの制度、果たして違法なのかどうか、いろいろ含めながら本記事では、特にセクキャバのお仕事に的を絞って考えてみたいと思います。

バンスとは?

セクキャバ嬢ですが給料の前借は違法なのですか?まずは用語法を軽くまとめておきたいと思います。
セクキャバ嬢に限らず風俗嬢が風俗店から給料を働く前にもらってしまうことを「前借(まえがり)」と言います。
しかし一般に「バンス」という言葉はこれに限ったことではなく、逆に風俗店が風俗嬢に給料を「前貸(まえがし)」することも「バンス」と言います。

インターネット上の説明では、この「前借の意味でのバンス」と「前貸しの意味でのバンス」が区別して使われていないようなので注意が必要です。
どうしてこんな紛らわしい使われた方をするのかというと、それは「バンス」という言葉の由来にあります。
「前もって」という表現は英語で言うと「inadvance」に成ります。
発音は「インアドバンス」。

これを省略して「バンス」と呼んでいるわけです。
前借と前貸どちらも「前」が入っていますよね。
だから両者の区別なく「バンス」という言葉が使われているわけです。

給料の前借は違法、だけど・・・。

実を言うとこのバンスは、前借であろうと前貸であろうと、どちらの場合でも違法です。

労働基準法よれば「お金を貸した分カラダで働いてもらう」というタイプの労働は容認されないからです(第17条)。
まずはこの事実を確認しておきましょう。
しかしそこからさらに話を進めることができます。
なぜなら労働基準法に違反すると言っても、その違反性の中身がまだはっきりしていないからです。

例えば金欠の女の子がセクキャバ店に駆け込んで来て店長さんに「ここで働かせてください!明日までに50万円必要なんです!!お借りした額はきっちり言われたとおりに働いて返します!!!」と叫んだとき、どこが違法なのでしょうか。
そう叫んだ女の子でしょうか。
その話の相手をしてしまった店長でしょうか。
あるいは、バンスの労働契約を結んでしまった双方でしょうか。

どれも当たっていないと言えます。
まず、前借をお願いすることで警察が動くようなことはありません。
バンス契約は犯罪ではないのです。
それはむしろ労働基準監督署が仲介する民事事件の部類です。

例えばAさんがスーパーマーケットのアルバイトで、採用当初の条件とはまったく違った条件で働かされていたとします。
その条件を変えるためにAさんは何をすれば良いのでしょうか。
そこで出て来るのが労働基準監督署なのです。
ただ、賃金未払いなどとなると完全に、裁判所が割って入ってAさんとスーパーマーケットとの間の私人間の争いとして民事裁判沙汰に成ります。

違法な契約をしたら、どうなるの?

女性 質問さてでは、バンス契約の違法性はどのような状況で物を言うのでしょうか。
それはきっと、店長視点で考えたときに了解されます。
「ここで働かせてください!明日までに50万円必要なんです!!お借りした額はきっちり言われたとおりに働いて返します!!!」と叫んで飛び込んで来た女性を実際にセクキャバ嬢として雇った場合を考えてみましょう。
前貸の雇用条件としてセクキャバ店の店長さんがそのとき「バンスOKだけど、その代り半年は週5で夜の7時から12時までみっちり働いてもらうよ」という条件を課したとします。

その条件に従ってバンスした女の子が大人しく働いている限り、実は何も起こりません。
逮捕も摘発も何も起こりません。

それはそうです、バンス契約は、逮捕や摘発の起こる刑事事件ではなく、民事事件の部類なのですから。
バンス契約が違法性を認められ始めるのは、当の女の子が「飛んだ」ときです。

よくよく考えてみてください、女の子のほうはバンスできれば目的は達成したわけですから、かしこまって借りたお金を返す義務は無いわけです。
ここでいう「義務」は文字通りの「義務」です。
バンス契約が違法である限り、「飛んだ」ところで損するのは違法な労働契約をしてしまったセクキャバ店の店長さんのほうなのです。
違法なバンス契約に訴えて、飛んだセクキャバ嬢を法的に訴えることはできません。

店長は抜かりなく「条件」を課して来るだろう。

このようにバンス契約の違法性は、セクキャバ嬢に有利に働き、店長さんには不利に働きます。
それゆえセクキャバ店などの店長さんが口をそろえて言うのは、バンス契約の際に課す条件選択の慎重さです。
店長さんは「審査」と称して徹底的に女の子の身元を掴んでおくでしょう。
女性 質問スマホの番号から、現住所、実家、彼氏に友人関係・・・飛ばれた場合を想定して、徹底的に情報収集するのです。

そこにNGの領域などありません。
賢い店長さんだったら、自分と女の子の関係はお金の貸し借り(消費貸借と言います)の契約関係だけにして、労働契約は自分の所属するセクキャバのグループ会社かなんかに結ばせるでしょう。
これをすることにより、「自分から借金返済の要求→女の子困る→自分とは関係の無いセクキャバ店(実は自分のお店)で女の子は働いてお金を返さざるを得ない→自分から借金返済の要求→・・・(永遠に続く)」という無限のループを作ることができるのです。
こうなると利息制限法もあったものではありません。

バンス契約時に悪徳店長だったら法外な利息をつけて、前貸しした50万円を結果的に100万円、200万円と膨らませて行くかも知れません。
下手をすれば給料前借をしたセクキャバ嬢はほとんどタダ働きでセクキャバ店に勤めさせられるかも知れません。
こう考えると一見、前借するセクキャバ嬢に有利に見えるバンス契約ですが、交渉の仕方によっては一転、店長に有利に働いてしまうのです。

まとめと結論。

いかがだったでしょうか。

セクキャバ嬢ですが給料の前借は違法なのですか?」というタイトルで記事を書かせて頂きました。
前借あるいは前貸と言われるバンス契約は労働基準法上違法です。
このことは、ともすると給料前借した女の子に違法性を悪用されて「飛ぶ」ことを許してしまうように見えます。

しかしものは考えようで、ずる賢い店長ならバンス契約を悪用して、女の子に果てしなく自分のもとでタダ働きをさせるような状況を作り上げてしまうかも知れません。
だから本記事の結論に成りますが「セクキャバ店の店長から給料前借なんて止めたほうが良い」ということに成ります。
求人広告に「バンスOK」と書いてあっても利用しないことをおススメします。
セクキャバ店に面接に行ったときから、あなたを守るものは何も無いと思うべきでしょう。

店長の人間性を信用し切ってしまうのも危険です。
風俗の世界には確かに、非常にできた人柄の店長さんも居ます。
しかしそうでない店長も居ること、そしてそのことは裏にどんな大きなグループ会社があっても同じことだと覚えてください。
本記事が仕事に悩む風俗嬢さんのお役に立つことを心から願っています。